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歯周病(ししゅうびょう)が全身に及ぼす影響!

今回は歯周病が全身に及ぼす影響についてお話したいと思います。

歯周病がなぜ全身に影響を及ぼすのか?

歯周病の原因となるのは細菌です。細菌は塊となって歯垢(しこう)を形成します。歯垢はプラークやバイオフィルムとも呼ばれます。歯垢が長期間歯の表面に留まっていると歯茎(はぐき)が炎症を起こし出血しやすくなります。ここで重要なのは出血するということは怪我をしているのと同じなのです。例えば転倒して膝を怪我した場合、しっかり消毒・洗浄を行い絆創膏などでガードし、細菌が傷口に入らないようにしますよね?それは何故でしょうか?傷口から細菌が入り込み化膿したりするのを防ぐためだと思います。口腔内でも同じことなのですが、歯茎から出血しても気にする方は少ないかもしれません。ただし、それは非常に怖いことなのです。歯茎が炎症を起こし出血する場所には多量の歯垢が溜まっている場合がほとんどです。つまり、傷口に細菌を塗りこんでいるようなものなのです。その傷口から歯周病菌が血管内に入り込み全身を回り様々な病気を引き起こしたり、悪化させる原因となるのです。事実、本来口腔内にだけ存在する細菌が血管の詰まったところで見つかることがあるのです。

歯周病と関係がある全身の病気は?

『アルツハイマー型認知症』

アルツハイマー型認知症患者さんの脳内から歯周病菌が見つかったことが報告されており、歯周病菌と炎症性サイトカインが、アルツハイマー型認知症の病態を増悪させる可能性が指摘されています。一方、歯周病による炎症反応で、アルツハイマー型認知症患者の脳内に蓄積されるアミロイドβという物質がつくられることが報告されています。

『誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)』

歯周病菌をはじめとする口腔内細菌が飲食物や唾液を介して誤って気管を通過し、肺に入ると誤嚥性肺炎が発症することがあります。

高齢になると、食べ物を飲み込むための喉の筋力が低下し、リスクが高くなります。

『糖尿病』

糖尿病が歯周病を悪化させる一方で、悪化した歯周病が糖尿病の病態に悪影響を及ぼすことを示す研究結果が多く報告されており、糖尿病と歯周病の間には双方向の関連性があることがわかっています。

『心血管疾患(しんけっかんしっかん)』

歯周病菌が血管に入り込んで血管を傷つけたり、歯周病によって産生された炎症性サイトカインが兼官に炎症を引き起こしたりすることで、心血管疾患の原因となる動脈硬化を誘発・悪化させているのではないかと考えられています。

動脈硬化症や大動脈瘤にかかった細胞を検査すると、多くの歯周病関連菌が検出されます。

『肥満・メタボリックシンドローム』

肥満の人は歯周病になりやすく、内臓脂肪から産生されたTNF-αなどの炎症性サイトカインが歯周組織の炎症に悪影響を及ぼしているのではないかと考えられています。

『非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)』

血液に侵入した歯周病菌や、歯周病の影響で産生された炎症性サイトカインなどが肝臓に悪影響を及ぼし、NASHの病態を悪化させると考えられています。

『早産・低体重児出産』

中等度以上の歯周病にかかっている妊婦さんはそうでない妊婦さんに比べて、早産や低体重児出産のリスクが高いことが報告されています。

歯周病が進行して歯茎の炎症が強くなると、歯周組織のプロスタグランディンE2が増えます。このプロスタグランディンE2は、陣痛促進剤として使用されており、歯周の収縮、子宮頸部の拡張作用をうながすため、早産を引き起こすと言われています。

早産であった妊婦さんのお口の中を調べてみると、歯周病の重度である割合が高く、多量のプロスタグランディンE2が影響を与えているとみられます。

『関節リウマチ』

関節リウマチ患者さんは歯周病の罹患率が高悪、より重症化しやすいという報告があります。歯周病と関節リウマチの病因・病態には共通点が多く、炎症性サイトカインなどの物質が過剰に産生されることで病気が進行するのではないかと考えられています。

『骨粗鬆症(そつそしょうしょう)』

骨粗鬆症の患者さんは、そうでない患者さんと比較した場合、歯を支えている骨の減少(歯槽骨吸収)が早く、歯周病の進行が早いという報告があります。また、歯周病で歯を失うことにより、食べ物を噛む力が弱まり、バランスよく食事することが難しくなるため、身体全体の骨密度が低下し、悪循環が起こりやすい傾向にあります。

まとめ

歯周病は、全身の健康と深くかかわっていることがお分かりいただけたのではないでしょうか?日々のホームケアと定期的な専門家によるプロフェッショナルケアで歯周病予防をしていきましょう!

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